恋する事件簿【完】
父親は私を離すと、「2人で話し合え」と、給湯室の方へと消えて行った。



「芽依実アレは…」



「わかってる。でも話したくない…っ…」



私は階段を駆け降りた。

けど、「芽依実!!」と追い掛けて来た那維斗に、1階目前の踊り場で掴まった。



「話したくない…っ…」



…ハナシタクナイ…。

離したくないよ…。

泣き崩れた私を、那維斗を無言で抱き締める。

薄明かりの階段。

夕陽はとっくに沈んでる。



「嫌な思いさせてごめん…」



私が幼稚だから。

恋愛経験が少ないから、キス一つでいっぱいいっぱいになってしまう。
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