うしろ姿



私は成り行きで、伶に抱きしめられている。



「あ、そうそう」

「……ん?」

「言うの忘れてたけど、そこに清水くん居るよ?」

「………え?えっ?」

「盗み聞きとか失礼。」

「伶!」

「まぁ、俺は華耶の彼氏候補第一だからよろしくね、清水くん。」


……また勝手なこと言って。

伶がドアに向かって歩き出す。



私は伶が航に

「ぐずぐずしてると貰っちゃうよ?」

と言ったのを聞き逃さなかった。




ねぇ、航。

今の光景を見て、あなたは何も感じませんでしたか?


…嫉妬してよ。

伶に、嫉妬して欲しい。

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