いつか君を忘れるまで

「何でかなあ。」

俺はもう一度そう言うと、考え込むように腕を組んだ。

特に老け顏という訳ではないと思うのだが、まず年相応には見られないのだ。
まあ、慣れてしまっているから、別に良いのだが・・・。

ふと、クスクスという声が聞こえたので顔を上げると、ミホちゃんは笑いをこらえるように、口を手で抑えていた。

「あれ？ミホちゃん、笑ってる？」

俺は、首を傾けた。

「だって、良平くん真剣に考え込んじゃって。何だか、カワイイんだもん。」

先程までの泣き顔とは違う表情に、俺はホッと胸を撫で下ろした。

それにしても・・・

「俺、女の子に「カワイイ」って言われたの、はじめてなんだけど？」

ミホちゃんの言葉の意味がわからずに、俺は傾けた首を戻せないでいた。