いつか君を忘れるまで
ふとレジの方を見ると、学生服の女の子が会計をしようとレジ台に向かって歩いているのが分かった。

お客を待たせるのは、いい気持ちはしない。

俺は、早足でレジ台へ向かった。

「ありがとうございます。お預かり致します。」

女の子がレジに本を置いたのと、俺がレジに辿り着いたのは、ほとんど同時だった。

受け取った本は、およそ似つかわしくない洋書の詩集だった。

(随分、イイ趣味してるな。)

そう思い、何気無く女の子の顔を見た俺に、衝撃が走った。

すっかり忘れたつもりでいた、アイツにそっくりだったのだ。

いや、アイツがこの街にいるはずはない。
他人の空似だっていうことは、重々承知だ。

それにしても・・・。

俺は、湧き上がる何とも言えない感情に飲み込まれて行った。
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