いつか君を忘れるまで
デート
デートの日は思いの外、直ぐやって来た。

電話をもらった数日後の土曜日。
俺達は駅で待ち合わせると、近くの喫茶店に入る事にした。

「あの。この前はありがとうございました。本当に困っていたので、助かりました。」

メニューの注文をすると、奏ちゃんが直ぐに口を開いた。
ペコリと頭を下げる彼女の長い髪が、サラサラと揺れる。

「いやいや、目の前で困っている人がいたら助けるでしょ。普通。だから、気にしないでね。」

改めて御礼を言われて、俺は少し照れていた。

「でも奏ちゃん、私服も可愛いね。」

俺は、話題を変えようと彼女の洋服に目を落とす。
タイ付きの白いブラウスにニットのカーディガン。
下はショートパンツにハイソックスで少しヒールのあるワンストラップシューズ。
それは、彼女のイメージピッタリだった。
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