いつか君を忘れるまで
「ちょ、良平さん。作り過ぎじゃないですか?」

その声にハッとして手を止める。

声の主は、手塚ヒロキだった。
専門学校の1年生だ。

手塚は、エプロンの紐を結びながら、レジの中に入って来た。

視線を俺の手元に戻すと、さっきまで折っていたブックカバーが山積みになっていた。

「考え事ですか?何か、心ココにあらずな感じでしたけど。」

考え事ー。

そうかもしれない。
久々にアイツの事を思い出してしまった。

俺は、ブックカバーを綺麗に重ねると、レジの下の棚に収めた。
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