赤い狼 参

:忘れていた事






――プルルルル、プルルルル…――




「ん~?」




朝、目が覚めた。



それも、電話の呼び出し音で。




「…何だよ~。」




基本的、朝が弱い私は大抵休日は9時に起きる。



これを聞いた人達は口を揃えて遅い、と言うけれど…


私は、そうでもないと思う。



塚、それより…




「煩い。」




さっきから鳴り止まない携帯。


…煩いな。



低血圧の私には耳障りな音にしか聞こえない。



…仕方ない。出るか。




携帯を開き、そのまま画面を見ずに電話に出る。



あぁ、連にやられた黒く塗られた画面はちゃんと綺麗に除光液で拭きましたよ。




「…ん~はい。」




どうせ、隼人か誰かだろう。


と思っていた私は、伸びをしながら返事をする。



でも、私の予想は見事に外れる事となる。




『おー、ぃぃ度胸してんじゃねぇか。』



「へっ、」




そこで、私の動きは止まる。




この声、何処かで――…




「あ、た、拓磨?」



『あぁ。』





そう、このぶっきらぼうな声。


低く耳に響く声。



でも、いつもと違うのは…





怒っていると明らかに分かる声だ。





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