天使のキス。
疑問を口に出していいのかわからず躊躇うあたしを横目で見て、グラスのお茶を飲んでから悠は言った。


「オレ、ガキの頃から祝ってもらった経験なんてないし、プレゼントをもらった事もない。
親父はいつも仕事で家にいないし」


フっと唇を歪めて笑い、グラスをダン!っと乱暴に置く。


「つーか、アイツ。
息子の誕生日なんて、いちいち覚えてないんじゃねぇ?」


自嘲気味に話す悠の瞳は、空を見つめて動かない。


「おまけに、アイツがパーティを開くときは、それなりの利益を生む算段がある時だけだ。
だって、アイツは、感情なんかでは動かないから」


悠を包む空気がひんやりとして、無表情が悠を包みこむ。
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