天使のキス。
「鈍くせェ。
今頃気づいたのか?」
つーか、あんな小芝居に騙されるおまえが悪い」


組んだ腕の先、指であごを撫で、


「お人よしすぎるのも大概にするんだな」


そんな言葉とともに、あたしの手首を掴んで、ちょんっと前に引っ張った。


「そうじゃなきゃ…」


そのとたん、ふわりと香る清々しい…まるで森林の中にいるような香りに包まれた。


「――オレの餌食になるよ?」


そんな言葉と、


「あれ?
今度は逃げないんだ?」


唇に感じる初めての感触とともに――。

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