天使のキス。
「産んでほしい?
それとも、おろしてほしい?」


挑戦的かつ端的な沙耶の言葉。


信じられない。


こんな時に、そんな言い方――…。


あたしは、こんな時まで沙耶が沙耶であろうとする姿に泣きたくなった。


「どっちでもいいよ。
沙耶ちゃんの好きにして」


ふいに聞こえる五十嵐くんの声。


え!?
五十嵐くん!?


“沙耶ちゃんの好きにしていいって”


今、そう言った?


じゃあ、さっきの“あぁ、そう”って言葉は――…。
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