天使のキス。
だから、あたしは、自分の不安な気持ちに蓋をして、急いで沙耶の後を追った。


適当に歩いているものだとばかり思った沙耶は、どうやら本当に病院を目指して歩いていたらしい。


「さ…沙耶っ!
本当に病院に行くつもり!?
でも、今日は日曜日だから…
行っても診てもらえないよ」


沙耶の袖を引っ張るあたしを、般若のような顔で睨み、


「あんな奴の子。
一分・一秒だって早くおろしたいの」


沙耶は急患・休日入り口の看板のあるドアから中に入り、受付に突進した。


日曜日の病院は、さぞかし閑散としているだろうと思ったあたしの予想に反して、


待合室はかなりの混雑で、その混雑の中に、あたしは健ちゃんを見つけた。

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