天使のキス。
「うさぎが…
来たんだ…」


「…健ちゃん?」


「うさぎが…
うさぎが…
…来たんだ」


あたしの腕を離し、こぶしを固めてはほどき、また固める。


そして、それを穴のあくほどジッと見つめる。


そんな健ちゃんの行動の意味も、“うさぎが来た”の言葉の意味も。


もちろん、健ちゃんが驚いたものの正体も。


あたしには全然わからなかったけど、待合室に一人残してきた沙耶のことが心配で、あたしは健ちゃんに声をかけてから、沙耶のところに戻った。

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