天使のキス。
学校に向かうタクシーの中。


息苦しい静寂があたし達を包みこんだ。


タクにかける言葉が見つからないまま、窓の外の景色ばかりが流れていく。


ブルブルブル…。


あたしのかばんの中でケータイ電話が震えた。


頭を抱えたままのタクの肩がピクっと動き、息苦しい空気に拍車をかける。


あ、どうしよう…。


とっさにかばんを手で押さえた。


でも、ブルブルブル…なおも震え続ける振動が、メール受信ではなく着信であることを知らせていた。


こんな時間に誰だろう?
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