天使のキス。
「相手の男を殴ってやりたい。
沙耶をこんな目に合わせた…
沙耶に1人で悩ませ、考えさせた、相手の男を殴ってやりたい」


「タクっ」


「でも、一番悔しいことは、相手の男がわからないことじゃなくて――…」


タクは、一瞬口をつぐみ――…


そして、吐き捨てるように言った。


「こんなにも、沙耶のことが好きなのに。
こんなにも、沙耶の幸せを願っているのに。
こんな時でさえ、沙耶に何もしてやれない、この俺自身だ」


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