天使のキス。
「そんなに知りたいなら教えてやるよ」


あたしの耳に届いたのは――…


「母親が…
母親が死んだんだよ」


一切感情がこもらない、悠の乾いた声だった。


え?
悠!?


いったいいつから、そこにいたの?


凍りつくあたしの視線の先。


曲がり角から、ラケットを肩に乗せた悠が、ゆっくりと姿を現す。


生気のない、人形のような悠の顔に、あたしはもちろん、隼人くんも昴くんも言葉を無くした。
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