天使のキス。
「オレの目の前で――…」


地面についたラケットに手を置いて、体を支えながら淡々と言葉を紡ぐ。


「自殺したんだ」


予想もしなかった悠の登場とその内容に、あたしは両手で口を覆った。


そんなあたしを凝視しながらラケットを壁に立てかけ、悠はいつも大事につけているペンダントを首からはずして蓋をあけ、写真をあたしに突きつけた。


「これが、その、自殺した母親だ。
文句あるか?
それとも、オレを。
マザコンと、嘲笑いたいか?」


悠は虚ろな目で空中を見つめた。
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