天使のキス。
「オレが17歳なのは、さっき昴が言ってた通り、病院に入院していたからだ。
原因は、母親の自殺。
症状は、母親の自殺を目撃したことによる精神異常」


「…」


「オレが幼稚舎に入る前の出来事だ」


悠はペンダントを閉じて、手の中に強く強く握り締め、あたしの前に歩み寄った。


正直、あたしは、もうこれ以上、悠の話を聞きたくなかった。


だから、口を覆っていた両手で、今度は両耳を塞いだのに――…


「愛里、おまえにわかるか?
目の前で、母親に死なれた気持ち」


悠はあたしの両手首を持って、覆っていた耳からあたしの両手を引き剥がした。
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