天使のキス。
「幼いオレは、母親に捨てられた事実を受け止めるだけのキャパシティーを持ち合わせてはいなかった。
だから、母親を失っても、なお――…
母親に会いたかった。
母親に甘えたかった。
母親に愛されたかった。
そして、母親に必要とされたかった」


「…」


「でも、その望みは、永遠に叶うことはない」


「…」


「だったら、その、永遠に叶うことのない望みを抱くよりも。
得られないものを求めて苦しむよりも。
求める気持ち自体を無くしてしまった方がいい」


「…」


「心では、何も考えず、何も感じず。
目先の損得だけで物事を考えても、世界は回る」


「…」


「そうすれば、オレの心も傷つくことはない」


「…」
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