天使のキス。
だから、泣く泣くその部屋を後にして、あたしは指定された部屋へと急いだ。


そこは悠の控え室で、部屋の前には、ガードマンが1人立っていた。


やっぱり、いるんだ。


壁に背をつけて様子を窺い、彼をドアから離すため、あたしはこっそり胸に隠していたハムスターを床に放した。


もちろん、健ちゃんの指示通り。


プロのガードマンが、こんなことで持ち場を離れてくれるのか、こんな事でうまくいくのか心配だったけど、


彼は、急に登場したハムスターに気をとられ、すぐに捕まえに走ってくれた。


「よしっ!」


あたしはガッツポーズをして、その隙に、悠の部屋のチャイムを押した。

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