天使のキス。
開かれたドアの先――…


あたしが見たものは、期待した悠の姿ではなく、黒い服を着たマスクの男。


「え?」


“この時間、まだ悠だけのはずなのに。
誰!?
この人…
もしかして、部屋を間違えた!?”


計画と違うシチュエーションに、戸惑うあたし。


男は乱暴にあたしを中に引き入れ、部屋の奥へと突き飛ばした。


「飛んで火に入る夏の虫とは、このことだな?」


男は床に転がったあたしを見下ろし


「捕まえる手間が省けたってもんだ」


マスクで覆った顔を歪ませ、ニヤッと笑ったようだった。
< 825 / 921 >

この作品をシェア

pagetop