天使のキス。
それを踏みとどまる事ができたのは、悠があたしの手を、ギュッと力強く握ってくれたから。


「悪い…
巻き込んで…」


小さく呟く、その、自分を責めるような悠の声に。


“あたしが、悠を守りたい”


あたしは強く、心の底からそう思った。


でも、気持ちとは裏腹に、なすすべもなく――…


「世話を焼かせるな」


マスクの男が、あたし達の腕を縛りあげた。


「アニキ!
もうすぐ、時間ですぜ?」


テレビドラマで見慣れたシーンが、すぐ目の前で行われているのは、


こんな状況にも関わらず、笑い出したくなるような、すごくおかしな気分だった。
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