天使のキス。
それは――…


今まで決して見せたことのなかった本物の天使の微笑みで、悠は画面のパパを見つめていた。


悠に再び感情が戻った瞬間を見つめ、あたしは安堵のため息をついた。


そして、ハッと思い出した。


“健ちゃん”


そうだ!
健ちゃんのもとに、悠を連れて行かなくちゃ。


「悠っ!!」


いきなり叫んだあたしを、驚きの表情で見る悠に、あたしは懇願した。


「悠。
もう一度。
もう一度。
あたしを愛して。
そして、それから――…
ずっとずっとあたしのそばにいて!
もう、別れるなんて、言わないで!!」
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