忘れモノ ー落としモノ番外編ー
「桃ちゃん…!?」
わたしの大きな声に驚いて
3人ともふりむいた
「夏七くん…怪我させたんだよ!?」
「いいよ、桃ちゃん」
夏七くんはこっちを見ているだけ。
「絆創膏だけ、してきたら?」
琉生くんが琉歌ちゃんの手をとって言ったから
わたしはリビングに向かった
なんだろう
すっごくむしゃくしゃする
「桃ちゃん」
「琉歌ちゃん!わたし一人でよかったのに」
いいのいいの、と笑って
琉歌ちゃんは私の横で歩いた
「桃ちゃん、もう夏七のこと
なんとも思ってないの?」
しばらく一緒にいたから
夏七くんのことを呼び捨てにする琉歌ちゃん
うらやましいな――
「うん、多分なんとも思ってないよ」
「多分、なんだ?」
顔がニヤけてます、琉歌ちゃん
「わたしは新しいヒトを捜すもん」
その息、とだけいった琉歌ちゃんを横に
わたしはもくもくと引き出しをあさった
――――新しいヒト、捜すもん
後悔なんて、してやんないんだから
夏七くんめ!