モデル同士の恋

確か、前にもこんなことがあった気がする。

あの時は結局俺が折れて死にかけたんだよな…


「ね、お願い!」

手を顔の前に持ってきておねがいのポーズを作る結衣。



「…仕方ない」

結衣のお願いに、やっぱり俺は弱いみたいだ。



「やたっ!
いっちばん怖いの乗ろうね!」

そう言って手を叩いて笑う結衣。


こいつわざと言ってやがる。


「死ぬから!」

「死なないしー」

「無・理・だ!」

「余裕余裕!

あ、ほらそろそろ着くよー」

結衣は遊園地の観覧車を指さした。


うっ…

観覧車を見ただけで吐き気が…


こんなんで俺、今日一日乗り越えられんのか?



そんな俺の心中など知らずに楽しみだねーと無邪気にはしゃぐ結衣。



「…はぁ」


俺は結衣に聞こえないように静かにため息をついた。




< 365 / 451 >

この作品をシェア

pagetop