モデル同士の恋
「…、背中、乗る?」


「え?」


自然と言葉が出てきた。



でも言ったあとで後悔の波が押し寄せる。


俺何言ってんだ…。



しばらく沈黙がつづいていたが、それを結衣が破って
「いーの?重いよ?」

と聞いてくる。


いや、俺が気にしてんのはそういう問題じゃなくて。

「それは全然いいんだけど。」

…彼氏でもなんでもないのにいいわけ?


その言葉はなんとなく言いたくなくて、結果語尾を濁すことになる。



またしばらくの沈黙が続いたが、それを破ったのもやはり結衣だった。


「…じゃーよろしく。」


そう言った結衣はちょっと恥ずかしそうに笑った。



それにつられて俺からも笑みがこぼれる。



俺らがどういう関係であろうとこいつにとっちゃ気にもしないってことだな。


さすが結衣だ。



そんなことを思いながら結衣を持ち上げて歩き始めた。

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