嘘婚―ウソコン―
『鉄板ディナー・綾部』の外観はとてもよかった。

「ふーん」

なかなかいいところだなと、陽平は思った。

ホテルの中にあると言うこともあってか、さすがなものである。

そう思っていたら、父親がドアを開けた。

チリリン

「いらっしゃいませー」

ドアが開いてベルが鳴ったので千広は迎えたのと同時に、大前が接客にかかった。

来客は、白髪をオールバックにしたスーツ姿の長身の男だった。

「ご予約の方ですか?」

「18時30分に予約していた周です」

大前が聞くと、男が丁寧に答えた。

「アマネ様ですね、お席の方をご案内致します」

大前の後ろをスーツの男がついて行った。

そのスーツの男について行く男がもう1人いたので、千広はカウンターから彼を観察した。
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