嘘婚―ウソコン―
赤茶色の短い髪。

彫刻のように整った顔立ち。

肌の色は白くて、一体どんな手入れをしているのだろうか。

見あげるほどの長身の割には、躰は細かった。

だけど息を吹けば飛ぶような細さと言う訳ではなく、躰に程よく筋肉がついている。

表現的には“細マッチョ”と言った方が正解だろう。

右耳にはダイヤのピアスがあった。

躰にまとっているそのオーラは、どこか強気だ。

その強気な雰囲気が見ているこっちにまで伝わってくる。

そう思っていたら、彼と視線がぶつかった。

「あっ…」

突然視線がぶつかったことに千広は驚いた。

だけど…今ここで視線をそらしたら、あまりにも不自然だろう。
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