嘘婚―ウソコン―
千広がうなずいたことを確認すると、
「じゃあ」

友美が席を立った。

「そのアクセサリー、陽平に返しておいて。

あなたが欲しいんだったらもらってもいいけど」

友美は呟くように言うと、テーブルの隅に置いてあった伝票を手にとった。

「おごるね」

ヒラヒラと指先で伝票を動かすと、友美はレジへ向かった。

千広は友美が会計を済ませるところを見送った。

カランカラン

ベルの音を立てながら友美が喫茶店から出て行った。

彼女が出て行ったことを確認すると、千広はカバンから携帯電話を出した。

電話帳から陽平の電話番号を出す。

ガチャッ

「もしもし?」

すぐに陽平が出た。

「周さんですか?」

千広は電話越しの陽平に話しかけた。
< 270 / 333 >

この作品をシェア

pagetop