嘘婚―ウソコン―
そう言った千広に陽平はアクセサリーを見せるように差し出した。

「ヒールの部分が微妙に曲がってるんだ」

千広は陽平に言われた通り、靴のヒールの部分をじっと見つめた。

曲がっている…ようには見えない。

むしろ、売り物として商品に出してもいいのではないかと言うくらいの完成度だ。

「ヒロにはわからないか」

陽平はアクセサリーをテーブルのうえに戻した。

「とにかく、このアクセサリーは俺の失敗作だ。

まあ、初めて作ったっていうのもあるけどな。

それをモミが気に入って、誕生日だ何だと言われてあいつに奪われたって訳」

陽平は息を吐いた。

チラリと千広を見て、
「何?

欲しいの?」
と、言った。
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