嘘婚―ウソコン―
「ちょっと、その格好は何!?」

園子は思わず声をあげた。

「仕方ねーだろ、徹夜したんだから」

彼は大きなあくびをすると、頭をガシガシとかいた。

「信子おばさんは?」

そう言った園子に、
「仕事に決まってんだろ、他に何があるって言うんだ」

砂野はぶっきらぼうに言い返した。

彼の格好は上はランニングシャツで、下はステテコである。

ここへきたのが自分だからよかったものの、依頼者だったらどうすると言うのだろうか?

「それで、お前は何の用だ?

用事があるからここへきたんだろ?」

そう言った砂野に、
「当たり前じゃないの…」

園子はやれやれと言うように息を吐いた。
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