嘘婚―ウソコン―
千広は携帯電話に手を伸ばすと、確認をした。

園子からのメールだった。

『シロおじさんに周陽平のことを頼んできた。

明後日の15時にシロおじさんのところにきてくれって』

「――15時か…」

メールの内容に、千広は呟いた。

バイトは休みのうえに、講義は午前中の2時間で終わりだ。

千広は“わかった”とメールをすると、枕元に携帯電話を置いた。

「――一体誰なんだろう、“周陽平”って…」

見知らぬその名前は、会ったこともなければ見たこともない。

そう思いながら、千広は目を閉じた。


次に視界に入ったのは、赤茶色の髪だった。

(――この髪色、どこかで見たことある)

千広は思った。
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