不器用な恋模様



2回も名前で呼ばれて俺の顔も熱を帯びる。



「どういたしまして」


俺は高嶋に微笑んで、また映画を見始めた。




手を繋いでも、
やっぱり
高嶋の涙は収まらなくて……


泣く度に俺は
強く手を握った。



その時に
高嶋が握り返してくれるのが

すげー嬉しかった。



何もかもが初めてだ。


こんなに感情に振り回されるのも


時間を恨んだのも。




このまま……

時間が止まってしまえばと


俺は
たった2、3時間の映画中に

何度 思っただろう――――?







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