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「菜々子には菜々子の世界が出来てる、そんなの当たり前だよな。
なのにごめん、俺に付き合わせちゃって。
本当に無理しなくていいから。」

「…無理なんか…してないっ!」

「え…?」

「なんで…奏人が…そんなことっ…言うのよ…。」


泣いちゃダメ。
ここで泣いたら、なんだか全て終わっちゃう。


それなのに、苦しくて声が震えて、涙を堪えることが出来ない。
佐々木さんのところに行けって…だってそういうことでしょう?


奏人は私が佐々木さんのところに行っても平気で
つまり私は、奏人にとってどうでもいい存在…。
〝彼女〟とは程遠い、ただの〝幼馴染〟


涙が両目から零れ落ちる。
我慢出来ない。


「え…菜々子…?」

「もういい…っ…。
私、帰るっ…!」

「菜々子!」


奏人の声を振り切って、私は全速力で走った。
涙がどんどん頬を伝っていく。
風で横に涙の筋が出来る。


自分の部屋に駆け込むと、ベッドの上にダイブした。
枕を抱えて声を押し殺して、泣けるだけ泣いた。

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