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―――着信だ。しかも奏人から。
ケータイを握りしめ、ゆっくりと開く。
通話ボタンを人差し指の先端で押した。



「…っく…もしもし…?」

「今、菜々子の家の前にいるんだ。
どうしても直接会って謝りたい。
だから出てきてくれないか?」

「…っ…今…酷い顔…してて…っ…。」

「じゃあ待ってる。
落ち着いたらでいいから、来てほしい。
駅にいるから。」


時計を見た。
時間は7時。
…顔がどうこう言ってる場合じゃない。


「じゃあ、またあとで。」


プツっと切れた電話。
私はケータイを放り投げて、洗面所に向かった。
冷たい水で顔を洗って、服を着替え、部屋を飛び出す。


―――奏人は歩くつもりなんだ。
駅まで1時間はかかるであろう道のりを。


だったら、追い掛けなくちゃ。


私も、謝らないといけない。
一方的に怒ったこと。


そして言わなくちゃ。
…ずっと言えなかった、この気持ち。
苦しいだけはもう嫌だから。

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