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「そしてその下の方向には冬の大三角形ですね。これはかなり有名かと…。」

「それはあたしも知ってる!あれとあれと…あれでしょー?」

「ええ。正解です。」


そう言うと、夏原が目を細めて微笑んだ。
…だから!いきなり微笑むなっつーの!


「プロキオン、ベテルギウス、シリウス。この3つを繋いで冬の大三角形です。」

「名前あるんだ…長くて覚えられそうにないや…。っくしゅん!」

「ブランケットだけじゃ寒いですか?今日は耳あてもしてるんですけどね。
まずはカイロ2つ開けましょう。…そう言えばもう12時は過ぎてるんでしたっけ?」


そう言いながら夏原が時計を見る。


「12時24分…ということは日にちが変わりましたね。」

「え…?」

「12月24日。クリスマスイブ、ですね。」

「え、あ、そーだった!」

「一人身同士でクリスマスイブ…ということになりますね。
そんなに悪いものでもないじゃないですか。」

「はぁ?」

「空には数えきれないほどの星が瞬いていて、そんな星を君が好奇心に満ちた目で見つめていて、その隣には私がいる。
これって私としてはそれなりに充実しているというか…幸せです、とても。」


夏原が笑った。…まるで子どもみたいに屈託のない笑顔。
そんな表情に心臓の鼓動がぐっと加速する。
…苦しくなるんだよこのバカ!


「ではクリスマスプレゼントです、どうぞ。」

「は?」


手渡されたのは…カイロ2つ。


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