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ようやく離れた唇。
呼吸が乱れたままの私の髪を軽く撫でる手は…優しい。


「…可愛い。」

「っ…いきなり何をっ…。」

「すげー…可愛い。その顔、ちゃんと見せろ。」


後頭部に回った手が、視線を逸らすことを許してはくれない。
じっと見つめられると、顔の熱はさらに増す。
これ以上ないってくらい…熱い。


「…あのっ…これ以上は…っ…。」

「なに?俺の腕に抱かれてんの嫌か?」

「そっ…そうじゃありません!でもっ…あのっ、分かりますよね。」

「わっかんねぇーな。なに?」

「なにって…あのっ…どっ…ドキドキしすぎてるの…つ…伝わって…。」

「るけど?それがなに?」

「だからっ…これ以上そばにいるとっ…顔ずっと熱くてっ…。」

「…いいんじゃね?熱くても。そもそも冷ます気がねぇし。」

「え…?」

「まとまった休みなんてほとんどねぇんだ。
少しくらいお前とゆっくり時間過ごしてぇよ。」


もう一度優しく頭を撫でられ、そのままぐいっと引き寄せられる。
…意地悪さなんて感じさせない、温かくて優しい腕。
心臓の音が心地よくて、そのまま身を預ける。


「やけに素直じゃねーか。」

「抱きしめられるのは…好き…ですから。」

「キスは好きじゃねーのか?」

「そっ…そうじゃないけどっ…ドキドキしすぎちゃって苦しくなる…ので…っ…。」


キスは…嫌じゃない。むしろ…好き。
好きで好きで…だから抱きしめられるのもキスも…好き。
だけどっ…ドキドキがこれ以上ないってくらい高まって、苦しいの。

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