7 STARS
「…嫌なら、ここで止めて。今なら止まれるから。」


…嫌、なんだろうか?
あたしは、こんなに優しいキスを…知らない。
髪にこうしてキスされたのなんて、初めて。
こんなに優しい手を、あたしは知らない。


「…嫌じゃない。」


波が遠ざかる音がする。
水面にキラキラと星が映る。
ショウの方は見れなくて、その光を遠目に見つめながらあたしはそう言った。


「嫌じゃないなら…。」


ショウの手が顎をくいっと持ち上げる。
視線は、無理矢理合わせられた。


「目を見て、言って。
好きだとか、愛してるなんて言葉はいらないから。
…嫌じゃない、とだけでいいから…言って。」


ショウの目が、あたしの目を捉えて離さない。


「…嫌…じゃ…ない…よ。」


だから目を逸らさずに。
…ショウみたいには言えないから。
〝好き〟も〝愛してる〟も。
想っていても、言葉にはまだできないから。


「…ありがとう。それで本当に充分…。」


言葉が言い終るか終わらないかの瀬戸際で、視界は完全にショウでいっぱいになった。


唇が、優しく触れる。
その熱に導かれるままに、あたしはゆっくり目を閉じた。
…何故か、目からは涙が零れ落ちた。


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