7 STARS
*七夕の約束*


「あー…寒ぃ…。」

「ハルくん、ちゃんと着てきた?」

「着てるよ。でも寒い…。」

「あ、じゃあマフラー貸してあげるよ。」

「…いい。その代わり…。」

「え…?」


マフラーをほどこうとした手が掴まれ、そのまま抱き寄せられた。
頬にハルくんの吐息を感じる。


「はっ…ハルくん!?」

「ヒメで温めて。」

「えっ!?」

「マフラーより、ヒメが欲しいから。」

「…っ…!」


7月7日に再会を果たしてから今日で約半年。
…約束の場所に、今日は二人で来ています。


7月7日から…その…付き合い始めた…わけだけど、そして付き合い始めて半年が経とうとしているのに…
私はドキドキに慣れなくて…


「温かい…な、ヒメは。」


耳元でそんな声がするから、ドキドキで心臓が爆発しそう。
私を抱きしめる腕が強さを増して、ハルくんの香りに包まれる。
…寒さなんて、本当に何も感じない。


ハルくんの腕の中で、少しだけ空を見上げる。
…夏とは違う星空に、時間が経ったのだということを実感する。


あの日見れた天の川は今、もちろんなくて。
でもその代わり…とまではいかなくても、明るく、そしてはっきりと輝くオリオン座。


「…時間、経ったんだね。」

「え…?」

「星、全然違うもん。見て見て!」


私は星空を指差した。

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