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「思い立ったら動いちゃうタイプなもので…。」

「んなことは知ってる。だから…。」


齊藤が言葉を濁した。
…こんなのは珍しい。
窺うような表情を作って見るものの、齊藤は少し俯いている。


「あの…齊藤先生?」


返事はない。
でも齊藤が堰を切ったように口を開いた。


「思い立つのは悪ぃことじゃねぇから、こうなる前に呼べよ、俺を。
余計な手間掛けさせんな!!」

「だって齊藤先生、今日日直だったし…いつもお忙しそうだし…。」

「物騒な世の中で新米教師が夜道うろうろしてるとか考えたら仕事に集中できるかバカ!!」

「ばっ…バカってなんですかバカって!!教員免許持ってる者同士なのに!!」

「そういう意味のバカじゃない。危機管理の甘さがバカだっつってんだよ!!」

「そ…それについては今回で反省しました。ご迷惑おかけして本当にすみません。」

「分かればいい。」


不貞腐れたようにそう呟いた齊藤は、もちろん汐織から若干目を逸らしていた。


「…帰るぞ。つーか家まで送る。」

「えぇ!?いいですよ、そんな。大丈夫です。帰れますって。」


そう言って汐織は無理矢理立ち上がった。
でも思うように力が入らなくて、ふらつく。


「おいっ…!!」



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