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真姫が指差した方向、つまりははぐれた場所に向かってみるとオロオロとしている女性が目に入った。
真姫には見えていないようだったため、汐織は真姫を抱き上げた。


「ねぇ真姫ちゃん。あそこにいる人がママじゃない?」

「ママだぁー!!」

「ちょこっと走ろっか。」

「うんっ!!」


真姫の手を軽く引いて、走り出した。
それに気付いた真姫の母親は涙ぐんでいる。


「真姫っ!!」

「ママぁー!!」

「良かったです。すぐに見つかって。」

「ありがとうございます。ありがとうございます…っ。」

「あ、いえいえ。本当にすぐ見つかって良かったです。良かったね、真姫ちゃん。」

「うんっ!!先生、ありがとう!!」

「どういたしまして。あ、お母さん、これからは手を離さないであげてくださいね。
大人の私達でも歩くのが大変なくらいですから、子ども一人じゃまっすぐ歩けませんし。はぐれたらなかなか見つからないですから…。」

「はい…すみません。」

「あ、違うんです。謝ってほしかったのではなくて…真姫ちゃん、すっごく不安そうでした。いっぱい抱きしめて、安心させてあげてくださいね。」

「はい…。本当にありがとうございました。」


真姫とその母親に見送られながら、汐織は来た道を戻っていた。


「あ…やば…。齊藤先生と…はぐれた?」


今更気付く。


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