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「って今度はあたしが迷子ー?」


焦ってそんな言葉を口走った。
でもまさにそんな状況だ。
汐織はこの公園の中に詳しくない。齊藤がいなければロクな巡回は出来ない。


「えっと…ケータイケータイ…。」


何かあったら呼べと言われて、携帯に登録したのはいいものの、特に何もなくて一度も使ったことのない番号にアドレスが思い浮かぶ。
今は緊急事態だから電話…っと。
そう思って携帯を持ったその瞬間だった。


不意に太い腕に掴まれる。
…反射的に感じた。相手は男だ。


「一人ー?なら俺らと遊ばない?」

「は…!?」


汐織の腕を掴んだ男を筆頭に3人組が汐織の周りを囲む。


「俺らさー丁度女の子と回りたくて。男だけとかむさいじゃん?」

「はぁ…。あ、私勤務中なので遊べません。すみません。」


あくまで機械的に断る。
今はそれどころじゃない。齊藤を探さなくてはならない。


「勤務中とか何の勤務さー?そんな嘘つかなくったっていいじゃーん。」


甘ったるい口調にイライラする。
汐織はこういった類の男を最も苦手としている。
いわゆる『チャラ男』だ。
見た目で判断するのもなぁとも思うが、見た目と中身はどうやら同じタイプらしい。


「人探してるんで!!」


掴まれた腕があまりにも不快で汐織は大きな声を出した。
元々声だけは大きい方であるため、一瞬だけ男たちが竦んだ。

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