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だが、汐織の腕を掴む力は強まった。


「人探しとかめんどいじゃん。別に彼氏とかじゃないんだろー?」

「勤務中なんで。失礼します。」


振りほどこうとしてみたものの、意外としつこいらしく、腕を解放してはくれない。


「つれないなぁーあんまりつれないことばっか言ってるとねじ伏せちゃうよ?」


ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる周りの男たち。
その笑みに背筋が凍った。


「俺らと行くよね?」


さも当然のように言う目の前の男。
この前自分に跨ってきた男もこんな感じだったな、なんてことを思い出す。
全く別の人物なのだろうけど。
にしても最近の自分は運が悪すぎる。
なんだってこんなバカな男ばかりが寄ってくるのだろう?
そう考えるとイライラしてきて、汐織は腕を掴んでいる男の手の甲に爪を立てた。


「…ってぇ!!」

「てめぇ…!!」

「勤務中だっつってんのに邪魔するあんたたちが悪いのよこのバカ男!!」

「んだと…?」

「ふーん…少し可愛がられないとダメな子みたいだねー。」


そう言ってさっきよりも強く腕を掴まれる。
右腕は目の前の男に。左腕は別の男に。


…やっぱりもっとジムとか行って鍛えておくべきだった。
そんなことを思ったときだった。





「汐織!!」


普段なら『お前』としか呼ばないはずの声でそう呼ばれた。



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