7 STARS
* * * * *


混雑した通りを抜けて、人気がなく少し暗い場所まで、齊藤は汐織の手をただ握ったまま何も言わずに歩き続けた。
ここまで来て、ようやく止まる。


「座れ。」


そう言われて、ベンチに座った。
ベンチのそばには街灯が二つある。


手は自然に離された。
汐織の手は熱を持っていて、まだ冷めそうにない。


齊藤が自販機で何か買って持ってきた。


「やる。」

「あ…ありがとうございます。」


渡されたのはカルピスソーダだった。
暑くて喉が渇いていたので、開けて喉を湿らせる。
やはり夏に飲むカルピスソーダは別段に美味しい。


「…何かされたか?」

「いえ。今回も無事です。」

「そうか。」


…齊藤の気持ちが掴めなかった。
低く呟く声には安堵の意も含まれているような気がしたが、どこか怒りのようなものも含まれているように感じる。


「でも腕が赤い。痛くないか?」

「え?」


自分の腕を見ると、確かに正面の男に掴まれた腕は赤くなっていた。
相当強く握られたのだろう。
そう考えると、身体が少し震えた。

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