zinma Ⅱ
突然、世界が広がった感覚になった。
だが一瞬のこと。
シギがはっと目を見開いたときには、その感覚は消えていた。
だがもう身体に刻み込まれた。
『共鳴』の感覚。
シギは立ち上がり、目を閉じると、さっきの感覚をもう一度再現する。
自分の感覚を、世界中に広げるような感じ。
見えない手を、四方に広げる感じだ。
するとまた一瞬、世界が変わる。
シギは何度も何度も、それを繰り返した。
何時間経っただろうか。
月がすっかり昇りきったころには、シギはなんとか数秒間の『共鳴』を維持することに成功していた。
『共鳴』している間、シギの閉じたまぶたの裏側には、まったく違う景色が広がっていた。
目の前の真っ暗な世界を、きらきらと光る靄のようなものが覆っているのだ。
まるですべてのものが金でできているかのように、すべてがきらきらと輝いている。
そこで突然、シギの全身から力が抜け、膝を折る。
自分の身体のことながらシギは驚く。
集中していて気づかなかったが、どうやら自分が思っていた以上に疲れているらしい。
そのままシギは、地面に横たわる。
夜空を見上げなから、両腕と両足を投げ出す。
疲れた身体が、そのまま地面に溶け込んでいくかのような感覚に陥り、いっしょにまぶたも重くなってくる。
そのまま感覚にまかせ、シギは眠りに落ちた。
ーーー……!
ーーー……ぁ……!
なんだ?
真っ黒な世界。
遠くから、かすかに声が聞こえてくる。
ーーーやあ!
ーーーはっ!
掛け声のように聞こえるが……
ぼんやりと、景色が…
あれは……村?
だが、見たことのない村だ。
それにこの声の主は……
子供だ。
2人の子供が、組み手をしている。
金髪の少年と、紺色の髪の少女。
あれは………