その手で撫でて
━トンッ


何かの物音で後ろを振り返った


藍ちゃんが…こっちをみていた
とても切ない顔をして

藍ちゃんの目線は俺の手だった


俺の手には美紀の手が重なっていた





やましい事なんて、何一つないのに俺は美紀の手を退けてしまった

俺…何がしたいんだ?


藍ちゃんが二階に戻っていった


かすかに見えた横顔は
目から今にもこぼれおちそうな位
涙があふれてた。


俺の体は反射的に
二階に向っていた。


置き去りにした美紀が
何か言おうとしたのが見えたが


手遅れだった
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