群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「すっかり暗くなっちゃったね!」


秋の午後は短くて、
夕方になったと思ったら、辺りは暗闇に包まれた。



「いつもごめんね。駅まで送ってもらっちゃって…」


「いいって!女の子一人で帰せないから♪」


そう言って、


繋いでいる手をブンブン振ってみせた大ちゃんに、私も頷く。



大ちゃんのクラブの中では、私と大ちゃんは付き合ってる……ことになってる。


頻繁に姿を見せる私に、


『年上?』

『可愛いね♪』

『彼氏いるの?』

『大介と知り合い?』


『…大介と付き合ってんの?』


いつも質問責めだった私。

最初は

「…幼馴染みです。」


答えたものの、


『またまた〜♪』

答えをはぐらかしてると思われて、聞いてくれず、

正直困ってた。


そんな時に大ちゃんが


『彼女、好きな人いるからちょっかい出さないで下さ〜い♪』


そう言ってくれんだけど、

そしたら、みんな勘違いをして…。



『変な虫が付いたら困るし。…ボクじゃ、ヤダ?』



そんな…

捨てられた子犬のような目で見ないでよぉ!


『…ヨロシクオネガイシマス…』


半分は本当、

半分は渋々……


そんなわけで、一緒にいるんだけど、


…手とか繋ぐのはちょっと抵抗があった。


だって…ハルくんに見られたくないし。


誤解されたくないし…。


私のことなんかわからないと思うけどサ。


…これが『恋心』ってヤツだよね。



…結局、手を繋いだまま

駅に着いた。



「────…あれ?」




大ちゃんが声を上げた。


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