群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「…あそこにハルいる。
切符売り場。」


そう言った視線の先を見ると……… 本物のハルくんだ!!


心臓がはねあがった。


それと同時に、繋いでる手を離そうとした──…。


でも、大ちゃんは握る手を緩めてくれなかった。


「…大ちゃん、離してよ」

小さい声で言った。けど、聞こえてないの?…離してくれない。


無理矢理振りほどこうとして、引っ張った時に、ハルくんはこっちに歩いてきて…──


「…あれ?大介…」


私たちに気付いた。


私は…とっさに下を向いて、顔を上げなかった。


けど、いつもより側にいるハルくんは


シャワーを浴びてきたみたいで、乾ききっていない髪から…いい匂いがする。


手にはちょっと大きめのカバンを持っていた。


「お、ハル〜♪風呂上がりにどこ行くの〜?」


大ちゃんは、ちらっと私の様子を伺い、


「まさか、デートじゃないよね?」


………デート?


やだ、なんでそんなこと聞くかな─……。

変な汗かいてきたよ…


…ますますうつ向く私。



「……俺は、これから病院だよ。着替え届けるの。」


そう言って、ハルくんは手に持ってたカバンを私たちに見せた。


そんなハルくんの声は…

いつもの張りのある声じゃなくて、どことなく寂しげ。


「──…あ、隣…」



私に気付いたハルくん…。

視線を感じた。


……ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……



「…俺たちのチームで噂になってたよ。

大介が可愛い彼女を毎回連れてきてるって。

ホント仲良くていいね。」

悪意のないハルくんの声が



───……私の心臓に突き刺さる。



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