群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
…車の中で、私たちは少し話をした。



瀬南くんは、今、大学三年生の21歳。



──『瀬南』って名前は、お義父さんが一時期F1にハマっていたときに、人気のあったドライバーからとったらしい。



「…私、瀬南くんの3つ下だよ。『義姉さん』はやめてよ」


そうお願いしても、



「ダメ。『極妻』みたいでいいじゃん〜♪」



…ご、ごくつま?!



「あ、今、コイツ馬鹿じゃん!って思ったでしょ!」



「…『極妻』だったら、

"ねえさん"じゃなくて、
"あねさん"でしょ、って思った…」


ぼそっと反論した。




「義姉さん、意外とおもしろいね♪

これがホントの義姉さん何でしょ?いっつも愛想笑いだからね〜」




…瀬南くんにはすべてお見通しみたい。



「…ところで、義姉さんの待ち合わせの相手って男なの?」




「…ん──…まぁ……」



曖昧な返事をする。




「へぇ。

──…いるんじゃん、そういう顔、させるヤツが。」


…そういう顔?


「顔、赤いよ。」



私を見て、瀬南くんは笑ってる。



慌てて、手で顔を扇いだ。


「…そういうヤツいるのに結婚していいわけ?

…あぁ、脅されてるって言ってたんだったな…

…何を脅されてるの?」


ちらっと私を見る。




…瀬南くんは、絶対誰にも言わない。私を助けてくれたし…。



「──…実は…」



私は今までのことをすべて話した。…ハルくんのことを除いて。




話を聞いてた瀬南くんは最後にこう言った。



「……その、家族のために自分を犠牲にするって言うのって、自分のエゴじゃない?」



「…そうかもしれないね。」


私は笑う。




「──…義姉さんは優しすぎるんだよ、…多分。


…オレが言えることは、生きてれば、絶対いいことあるから…死んだりすんなよ…。」



瀬南くんはポツリとそう言った。




< 212 / 270 >

この作品をシェア

pagetop