群青色の恋 〜私たちの恋愛模様〜
突然のことで
頭を鈍器で殴られたような衝撃。
目の前がグワングワン回った…
大介は
彼女のことが好きだった?
それに…
いつも『僕』の大介が
『俺』って言うのを初めて聞いた。
ずっと『僕』って言ってたから…妙に"男"を感じてしまって正直、焦った。
大介の
彼女への意志の強さを知ってしまった、気がした…。
横に座ってる大介の顔を
見ることもできず、かなり動揺してたようで
三崎先生が先に帰ったことさえわからなかった。
気付けば先生はいなくなり、真のヤツがベラベラと彼女に話しかけてた。
彼女に『真くん』なんて呼ばれて、目尻が下がりっぱなしのだらしない真の顔。
…見てらんねー
ゴクッ
水を飲む。
ふいに、二人の会話が耳に入り、
『なんて呼べばいいっすか〜』
ヘラヘラ笑う真の足を蹴ってやろうと思ったが、そこはグッと我慢した。
…真と話をしてる彼女は、時折、眼鏡の奥が
昔と変わらない優しい目をして、口の端を上げて微笑む、幼さが見え隠れするその顔に
少しだけ懐かしさを感じた。
「みーちゃんってのはどうですか?」
真の提案。
みーちゃん?…猫か?
俺が心の中で一人突っ込みをしてると
「みーちゃんは美桜さんのお姉さんだよ」
笑いながら大介が答える。
さっきのことを気にしてるせいなのか、大介のその言い方が
『自分の方が彼女のことを知ってる』ように感じて、
無性に腹が立ってきた。
「じゃ、何て呼ばれてたんですか?」
真がずいっと彼女の前に顔を出す。
真の顔が近くなったせいなのか、驚いた顔をして、少しだけ顔を赤らめた彼女。
大介が真をグイッと彼女から引き離しニッと笑い
「おーちゃんだよ」
勝ち誇った顔をしていた。