群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
『おーちゃん』


会いたかった

あの時の彼女と


おんなじ名前。



「…おーちゃ…ん…」



無意識に呟いていた。



「な〜んでハルが知ってんの?」


地獄耳の真が

すかさず聞いてきた。



「…今、大介が言ったじゃん。」


…この地獄耳が。



すると今度は、真はニヤニヤしてて



「またまた〜!狙ってたんじゃないの〜!?」


…真の言うことが冗談だってことはわかってたけど、


…彼女がいなくなった時を思い出してしまい


「人のものにはキョーミねぇよ。」



また一つ嘘をつく。


心ない言葉が次から次へとポンポン出てくる。


そしてまた後悔。


…反省できない俺は

サル以下かもしれない。



けどさ、そういうヒドイ事しかできないくせに


俺、君のことが気になって気になって仕方ない…。



俺は窓の外を見てる振りをして、彼女から目を反らす。


「冗談だって!怒んなよ〜」

真がなんか言ってるけど無視した。



彼女も俺と目を合わせないようになのか、下を向いてて……



そんなピリピリしたムードを変えたのはやっぱり大介。


「まぁまぁ。


真ちゃんもおーちゃんも


冷たいハルはほっといてさ〜。今日はご機嫌斜め子ちゃんみたいだから。」



…は?


オメーのせいだろが!!



そんな大介はとびきりの笑顔で彼女を見てるし。



俺は

窓に写る彼女の横顔を


ガラス越しにそっと見てた。

< 268 / 270 >

この作品をシェア

pagetop